はじめに
Claude Codeを使っていて、こんな経験はないでしょうか。
- いきなりコードを書き始めて、後から設計ミスに気づく
- テストを書かずに実装して、デバッグ地獄に陥る
- 複雑なタスクで途中から何をやっているかわからなくなる
私はこれまで、こうした問題に対処するためにGitHubのspec-kitを使っていました。要件定義からテスト、実装までを構造化するツールで、それなりに便利でした。しかし最近、メンテナンスが止まっています。最終コミットを見ると数ヶ月前で、IssueやPRも放置されている状態ですね。
AIツール周りは変化が激しいです。メンテナンスされていないツールに依存し続けるのはリスクがあります。そこで代替を探していたところ、見つけたのがSuperpowersでした。
GitHub 29,000スター超え。そして何より、2026年1月にAnthropicの公式プラグインマーケットプレイスに採用されました。公式が認めたプラグインなら、少なくとも当面はエコシステムの変化に追従してくれるだろうという安心感がありますね。
対象者
この記事は下記のような人を対象にしています。
- Claude Codeを使っているが、より効率的な開発フローを模索している方
- AIエージェントにTDDや計画的な開発を強制したい方
- spec-kitなど他のツールからの移行を検討している方
- Claude Codeプラグインに興味がある方
Superpowersとは何か
Superpowersは、Claude Codeに「シニアエンジニアの振る舞い」を強制するプラグインです。単なるプロンプトの寄せ集めではなく、開発ライフサイクル全体に深く統合された知識伝達システムとして設計されています。
基本思想
Superpowersの核心は以下の4つの原則にあります。
- Test-Driven Development: 常にテストを先に書く
- 体系的プロセス: アドホックなアプローチを排除
- 複雑性の削減: YAGNIとDRYの徹底
- 証拠に基づく検証: 「動いたと思う」ではなく「テストが通った」
これらを実現するために、Superpowersはエージェントの行動を7つのステップに構造化します。
インストール方法
Claude Codeでのインストールは非常に簡単です。
/plugin marketplace add obra/superpowers-marketplace
/plugin install superpowers@superpowers-marketplace
インストール後、/helpコマンドで利用可能なスキルを確認できます。
7ステップの開発ワークフロー
Superpowersを有効にすると、Claude Codeは以下のワークフローに従うようになります。
1. Brainstorm(ブレインストーミング)
ユーザーが何かを作りたいと言った瞬間、エージェントはいきなりコードを書きません。代わりに、ソクラテス式の対話を通じて要件を明確化します。
User: ユーザー認証機能を追加して
Claude: 承知しました。いくつか確認させてください:
- 認証方式はパスワード認証のみですか?OAuth連携は必要ですか?
- セッション管理はJWT、Cookie、どちらを想定していますか?
- パスワードリセット機能は必要ですか?
このステップで曖昧な要件を潰し、実装に入ってからの手戻りを防ぎます。
2. Setup(セットアップ)
git worktreeを使って隔離されたワークスペースを作成します。これにより、メインブランチを汚さずに実験的な開発ができますね。
git worktree add ../auth-feature feature/auth
3. Plan(計画)
要件が固まったら、2〜5分で完了できる小さなタスクに分解します。各タスクには完全な仕様が付与され、ジュニアエンジニアでも実行できるレベルまで詳細化されます。
タスク1: Userモデルにpassword_hashフィールドを追加
- マイグレーションファイルを作成
- bcryptでハッシュ化
- テスト: ハッシュ化されたパスワードが保存されること
タスク2: POST /api/auth/login エンドポイントを実装
- email/passwordを受け取る
- 認証成功時にJWTを返す
- テスト: 正しい認証情報で200、間違っていれば401
4. Execute(実行)
計画に基づいてサブエージェントを起動し、タスクを実行します。複数のタスクが独立している場合は、並列実行で効率を上げます。
5. Test(テスト)
このテストステップがSuperpowersの最も特徴的な部分です。テストファーストが強制されます。
RED: テストを書く(最初は失敗する)
↓
GREEN: テストが通る最小限のコードを書く
↓
REFACTOR: コードを整理する(テストは通ったまま)
テストを書かずに実装を始めようとすると、エージェントが制止します。
6. Review(レビュー)
実装が完了したら、計画で定義した仕様に照らし合わせて検証します。差分があれば修正を求めます。
7. Finish(完了)
マージ、プルリクエスト作成、クリーンアップを行います。worktreeの削除も自動で処理されます。
Core Skillsの一覧
Superpowersには20以上のスキルが組み込まれています。主要なものを以下に挙げます。
計画・設計系
| スキル | 説明 |
|---|---|
brainstorming | ソクラテス式の要件定義 |
writing-implementation-plans | 詳細な実装計画の作成 |
git-worktree-setup | 隔離されたブランチの作成 |
開発・テスト系
| スキル | 説明 |
|---|---|
test-driven-development | RED-GREEN-REFACTORの強制 |
subagent-driven-development | サブエージェントによる並列開発 |
plan-execution | 計画に沿った段階的実行 |
品質保証系
| スキル | 説明 |
|---|---|
systematic-debugging | 4フェーズの根本原因分析 |
code-review-workflows | レビュー依頼と受け入れ |
verification-before-completion | 完了前の最終確認 |
高度な機能
| スキル | 説明 |
|---|---|
dispatching-parallel-agents | 複数タスクの同時処理 |
creating-new-skills | カスタムスキルの作成 |
finishing-development-branches | マージとPR作成 |
Superpowers-Chrome:ブラウザ制御
Superpowersファミリーには、ブラウザを直接制御するプラグインも存在します。
概要
superpowers-chromeは、Chrome DevTools Protocolを使ってブラウザを操作するClaude Codeプラグインです。外部依存なし、クロスプラットフォーム対応となっています。
インストール
/plugin marketplace add obra/superpowers-marketplace
/plugin install superpowers-chrome@superpowers-marketplace
利用可能なコマンド
17種類のコマンドが用意されています。
ナビゲーション: start, tabs, new, close, navigate, wait-for, wait-text
インタラクション: click, fill, select
データ抽出: eval, extract, attr, html
出力: screenshot, markdown
高度: raw(DevTools Protocol直接アクセス)
使用例
# Chromeを起動
./chrome-ws start
# 新しいタブでページを開く
./chrome-ws new "https://example.com"
# フォームに入力
./chrome-ws fill 0 "input[name=email]" "test@example.com"
# ボタンをクリック
./chrome-ws click 0 "button[type=submit]"
# スクリーンショットを取得
./chrome-ws screenshot 0
MCPモードとの連携
MCPサーバーとしても動作するため、Claude Desktop等からも利用できます。
{
"mcpServers": {
"chrome": {
"command": "npx",
"args": ["github:obra/superpowers-chrome"]
}
}
}
Personal Skills:自分だけのスキルを作る
Superpowersの2層スキルシステムも注目したい機能ですね。
構造
- Core Skills: プラグインに同梱された汎用スキル
- Personal Skills:
~/.config/superpowers/skills/に配置する個人用スキル
シャドウイング
Personal SkillsはCore Skillsをオーバーライドできます。同じパスにスキルを配置すると、Personal Skillsが優先されます。
Core: /skills/test-driven-development.md
Personal: ~/.config/superpowers/skills/test-driven-development.md
→ Personalが使われる
カスタムスキルの例
自分のチームの規約に合わせたスキルを作成できます。
# コミットメッセージ規約
## 形式
type(scope): subject
## type
- feat: 新機能
- fix: バグ修正
- refactor: リファクタリング
- docs: ドキュメント
- test: テスト
## 例
feat(auth): add password reset functionality
fix(api): handle null response from external service
なぜSuperpowersが必要なのか
前回の記事で述べたように、2026年のAI開発では「単発の賢さ」より「連続した行動の信頼性」が重要です。
Claude Codeは強力ですが、何も制約をかけないと以下のような問題が起きます。
- テストを書かずに実装を始める
- 計画なしにコードを書く
- 途中で目的を見失う
Superpowersはこれらの問題を構造的に防ぎます。TDDを強制し、計画を立てさせ、サブエージェントで並列化します。
結果として、Claude Codeは「たまに上手くいく」から「常に信頼できる」へと変わります。
おわりに
本記事では、Claude Codeを本物のシニアエンジニアに変えるプラグイン「Superpowers」についてまとめました。
- 7ステップのワークフローで構造化された開発
- TDD強制でテストを書かないという選択肢を排除
- サブエージェントによる並列開発で効率化
- ブラウザ制御でE2Eテストやスクレイピングも可能
- Personal Skillsでチーム固有の規約を適用
プロンプトエンジニアリングで「良い習慣」を促すのではなく、システムとして強制する。これがSuperpowersの価値です。
Claude Codeを使っているなら、試してみる価値は十分にあると思います。この記事がどなたかの参考になれば幸いです。